リメンバーFUKUSHIMA
被災地を聖地巡礼する援助職がいるらしい。福島の先輩PSWが教えてくれた。気持ちはわからなくはない。ボク自身、震災後、何度か被災地に行ったりもした。何かできたらという建前はあったが、一番の動機は、誤解を恐れずにいうならば、「好奇心」である。よく素性のわかっていない患者さんのお宅にはじめて足を踏み入れるときの心情に近かった。不謹慎、面白半分、デリカシーの欠如と思われても仕方ない。だけど、敬意と配慮を持ったうえでの好奇心はある程度、距離をおいて冷静にそのものを眺める前向きなものになりえるはずだと。
被災地に行ってみて、何もできなかった。自分には何もできないことがすぐに分かった。ここじゃ好奇心は武器にならない。誰かを傷つけないように足元を確かめて、ただ歩くだけで精一杯だった。何もできなくて申し訳なく思った。何かできると思ってたことを謝りたいと思った。きちんと覚えておきたいと思った。何もできなかったことごと忘れないでいたいと思った。そしていつかまた来ようと誓った。