ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

「まっ白な闇」を見て

薬中版マッチ売りの少女って感じかなあ。今を生き延びるため真っ白な闇でひとり注射を射ち続ける。最後は一応ハッピーエンドってことでいいのかな。回復は続くから「今のところ」って話だろうけど。

 

パケ、ポンプ、注射を打ち込む場面、そういうシーンが再使用の引き金になることがある。かつて「日本で一番悪い奴ら」の綾野剛で気持ちよくスリップした経験から得た教訓だ。スリップは与えてくれる。もうスリップしないための学びではなく、次にスリップするための理由を与えてくれる。つまりスリップするためのスリップ。

見たことのある人が「結構リアルだよ」「よれるよ」って教えくれる。そんな事前情報からきっと期待の場面があるんじゃないかってワクワクしていた。予想的中。ただそのシーンがリアルかどうかはわからなかった。気持ちがよれもしなかった。なぜなら、注射を打ち込むシーンは、目をそらして見なかったからだ。テレビを見ていて色っぽい雰囲気になったら唐突に席を立つカマトトぶった子供のみたいに。「渇望には打ち勝つんじゃなくて、逃げる」。これを実践できた成果だ。我ながら大変よくできました。だから最後の「薬物なんかに負けるな」っていうメッセージには首を傾げてしまう。勝ち目は絶対にないんだから。そんな感想を持つのは天邪鬼なのだろうか。

 

主人公の覚せい剤使用を知った父親が「何でそんなことするんだ?」って声を荒げる。惜しい...すごく惜しい。いい質問なのに...。責めるだけじゃなくて、一緒に考えてあげればよかったのに。本人でもわからないクスリを使う理由を。って思いながら、それは望みすぎだということに気づく。

本人への共感の熱量はそのままに、だけど家族の感情にも配慮する。熱さと冷静さの両立。まだ今のボクにはムリみたいだ。

 

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