ヒーローはもういない
『コレクティブ 国家と嘘』という映画を観た。ルーマニアの政府の腐敗に対峙する者たち(挑む者たちと言った方がいいのかもしれない)を追ったドキュメンタリーだ。
生活困窮者支援を生業にしてこの一年、政治色の強い人達と接する中で「正義」について考える機会も多く、こんな辛気くさい映画にも日曜の朝早くから並んで観に行くようになった。去年、同じような政治ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観て政府の不甲斐なさ(不誠実さ)を競うなら日本がピカイチだろうと確信していたけれど、ところがどっこい世界は広い。絶望の闇は底なしだ。ルーマニアの方々も大変なんですね。泣けてきた。
見終わった後、一緒に行った病院勤務のソーシャルワーカー仲間に「医療従事者としてどう思う?」と思わず聞きそうになった。傍観者になろうとする自分に気づきやめた。これは医療の問題ではない。国と名のつく場所に生きる全ての人間の問題なんだ。
ヒーローはもういない♪と遺族の好きだったと思われる曲のカットアウトで終わる映画のエンディング。サビの続きは誰が歌うのか?ヒーロー不在の現実社会。まだ見ぬヒーローが現れるのをただ待つだけなのか?人生はそんなに長くないだろう?ヒーローなんてもういない。これって実は救いなんじゃないのか?若いやつらに景気のいいエンディングを語ってやれる世代になってやろうぜ、オレたちは。
満席だったけど、これ見にくる層ってマイノリティなんだr…やめとこっ。