面従腹背
医療刑務所のボクたちはとうの立ったジャニーズタレント同士みたいにお互いを「君」づけで呼びあう。これは看護師が受刑者を「君」づけで呼ぶことに由来する。
いくら病人だからといって刑務所にいる受刑者を「様」はもちろんのこと「さん」づけの敬称をつけては呼べない。しかし刑務官のように番号で読んだり、呼び捨てするのはナイチンゲール精神に反する。施設の特性と専門職としての理念のジレンマがこの中途半端な「君」づけをうみだしているんだと想像する。なんか医療機関で働く福祉職PSWの苦悩に重なり泣けてくる。
今、日本中の医療機関で患者の敬称を組織的に「君」で統一しているのはここだけではないだろうか。そして一般病院の看護師が「様」づけで患者と接するよりも何倍もスムーズにここの看護師たちは「君」づけを呼びこなしている。寝たきりのおじいちゃん受刑者も丸ごと「君」づけでよばれていて、そのうち「オテ!」っとか言われそうな勢い。
医療刑務所のいびつさがこの「君」に集約されているように思える。
拘置所での面接のときに既往歴を聞かれ、「覚せい剤依存症です」って答えても「はっ?だからなんだ」って反応だった。病気なんですけど…。
ボクらも訴えていきたい。だけど「これじゃおかしい」って専門職からのアプローチも必要だと思う。医療刑務所で働く医療職としての職業アイデンティティはこういうところで発揮されるべきでないのだろうか。
ジャニーズでイケるタイプ