ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

30メモ

注射器にはメモリがある。ボクが覚せい剤を使っていた当時は一メモ500円が相場だった。使い始めたころは、まず一発目に7入れて5、6時間、追加で3入れて朝まで楽しめた。10メモあれば十分だった。5,000円でオールナイトぶっ飛べる。月に一回程度だったらこのくらいの時間とお金はどうとでもなる。生活に支障をきたすものではない。依存症になるのは使用者の1割程度だといわれている。きっとうまくペースと量を自分でコントロールできている人たちの方が多いんだろう。
残念ながらボクはそうではなかった。覚せい剤に耐性がついてしまったボクは半年後には一回に30メモ入れるようになっていた。それだけの量をいれると打ちながら射精してしまう。まさにところてんだ。これを言うとうらやましがられるが、セックスドラックとして使用していた者としては致命的でもある。5,000円で一晩楽しめていたのに、たった数秒で15,000円が精液とともに飛んでいく…
色々話を聞いているとやはり「30メモ」というのが底つきのリミッターみたいだ。「30こえたらヤバイ」。本能が騒ぎ出す。(使用自体でもうやばいんだけど…)。わかっちゃいるけどやめられないのがアディクトの性。少しでも量を減らそうと努力はしていた。ペンのメモリを爪で削ってわからないようにして30へのこだわりを消そうとしたり、クエン酸を混ぜてかさまししたり、二本のペンにわけていれたり…どれもうまくいかなかった。唯一30メモを超える興奮を与えてくれたのは、どのくらいいれるかをすべて相手に任せて目隠しでいれてもらったときだけだ。あのワクワクドキドキはハンパなかった。後から聞いたところしょぼい量しかいれてなかったらしく(ケチくさ)、ほんと人間の脳って騙されやすいってことがよくわかった。もし今量を減らそうとしている人がいたら是非この方法をお勧めする。
身体への薬理作用としては7以上入れても変わらないらしい。それなのに、わかっているのに次にやるとしたら30くらいいれたいなあと思ってしまう自分がいる。もうしばらくやっていないのにそう考えてしまう。精神依存と耐性の怖さ。四十にして惑わずって孔子もいってることだし、30くらいで迷ってるうちが花なんだろうなあ。

 

f:id:ultrakidz:20200522162938j:image

注射器の画像は誰かの引き金になるかもだから載せません。これはウルトラヘブンから一コマ拝借。