ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

酒と覚せい剤とワタシ

アルコールが覚せい剤の再使用のハードルを下げるという事実は、依存症治療の現場では常識である。自助グループでも、アルコール自体が薬物というコンセンサスがあり、飲酒をスリップととらえる人もいる。
ボクはというと…けっこう飲む。普通に飲む。誘われたら行くという機会飲酒程度だが、やめようと思ったことはない。きっと依存症からの回復を目指す立場である事を考えるとこういう態度はナンセンスなんだろう。

アルコールが再使用の引き金になったことがあったかって?
思い当たんないなあ。
っていうかこれまで本気でクスリをやめようと思っていなかったし、酒を飲んでようが飲んでいまいが使いたいときは使うって感じでやってきたしなあ。
逆に、アンフェタミンの薬理作用を最大限に感受したいという思いが強くあったので、使う時は、身体も脳もこころもシチュエーションも万全に整えることに心血を注いでいた。
「アルコールでぼんやりしてしまった脳の状態で覚せい剤を使うのはもったいない」そんな風に思うタイプだったから(そういうタイプというものがあるのかどうかわからないが)、使わないために先にビールを飲んで「今日はクスリの日ではない」と自分を諦めさせることの方が多かった。見方によってはアルコールはボクにとってのハームリダクションだったのかもしれない。
アルコールはダウナー系だし、アッパー系の覚せい剤とは効果を打ち消し合うような気がしてしまう。(これって「アルコールのちゃんぽんは悪酔いするからよした方がいい」っていうクソ理屈とほとんど同じだ)。
このアップダウンのふり幅を楽しもうと、大麻マリファナのダウナー系ドラッグを覚せい剤と併用で使用する輩もいるが、フェニルアミノプロパン一筋の自分からすると、こういうのは邪道だ(五十歩百歩)。
どうしても使わずにいられない人には「ちゃんぽんは絶対にやめておいた方がいい」とアドバイスしたい。身体(とくに肝臓)にも悪いし、効きもよくない。ここのところは譲らず伝えたい。

アルコールが薬物だっていうのは多分間違いない。そして覚せい剤よりも絶対にアルコールの方が確実に危険である。(これはその筋の学者さん方も証明している)。薬物依存の場合だとスリップして最悪、捕まっとしても2、3年待てばまた会える。アルコールは、元気そうにしている人をたった一回のスリップでもう二度と会えない場所へあっさりとつれていってしまう。「ついこの間まで元気そうだったのに…」って驚かされることも少なくない。アルコールが身体と脳への与えるダメージは半端ないんだろう。コロナウイルスよりコロナビールの方が人を殺す。
薬物依存でよかったとは言えないけど、アルコール依存でなくてよかったとは言い切れる。とりあえずひとりのときと酒をやめようとするアディクトといるときには飲まないという自分ルールはこれからも守っていきたい。それが同じアディクトとしての最低限のマナーだと思うから。

 

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エイミーとブルーノとヴァレリー