ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

まだ体だけだから

少し暖かくなってきたなあと思ったてたら、週末に雪が降って、昨日もまだ風は冷たかった。冬が好きじゃない。寒いと自分を守るので精一杯になる。
尾崎豊はヒットスタジオで「太陽の破片」を熱唱してカムバックしたし、マッキーの復帰作のタイトルは「太陽」だった。太陽大事。薬中ってみんな寒いのやなんだろうなあ。
かくゆうボクも例に違わず、だいたい11月ごろからクスリの使い方がおかしくなり、3月に捕るというパターンだった。アイスはやっぱり汗だくの夏に限る!今年の冬はかろうじて乗り越えれそうかな。

 

コロナウイルスに感染したおじさんが、知ってて街をうろついてウイルスをばらまいたって非難されている。心が痛い。似たようなことをしてきたから。HIVなのに覚せい剤を使ってハッテン場で交尾しまくる。濃厚接触生物兵器による無差別自爆テロHIVのゲイが覚せい剤を使うって、猿に核ミサイルのボタン握らせるようなもんだ。

 

あのころに比べればどうだろう。依存症は「体」「脳」「心」「人間関係」の順で回復するらしい。

ここ最近は、確かに快食、快眠、快便、毎日すこぶる調子がいい。依存症ではないが、HIVも検査結果ではウイルス量も検出値限界未満でもう誰かに感染させることはない。
話がそれるが、この「U=U」の情報(血液中のHIV量が検出限界値未満のレベルに継続的に抑えられているHIV陽性者からは、性行為によって他の人にHIVが感染することはないということ)を同じHIVポジティブの友達に教えてあげたところ「ああ、じゃあオレにはもうヤバ種はないのか…」って彼は寂しそうな横顔をみせた。よろこぶと思ったのに...。ヤバ種は彼のプライドだったらしい。アイデンティティクライシス。世の中にはいろんな人がいる。不必要な情報提供をしてごめんよ。
ボクはすこーーしずつではあるが上昇している免疫値をよかったと受けとめることができる程度には精神的健康度を保っている。とにかく「体」の回復が一番はじめに来るってのには異論はない。


ただ次の「脳」の回復には首をかしげてしまう。先週の受診でも、入り口のアルコール消毒液の匂い、採血の注射針、結束バンド、血管、腹部エコー検査のときにお腹に塗られるローションなどなど、病院はフラッシュバックの地雷だらけだ。ちょっとちがうかもしれないが、都営バスに乗った時に流れる「おつかまりください」というアナウンスにも「絶対に捕まらない」って毎度思ってしまう。他にも、車の運転中「このルートの方がはやいよ」という友人の助言に「ルート?」「速い?」って隠語を連想し反応してしまう。そのレスポンスは反応というよりは反射に近い。一度ダメージを負った脳って回復するのか?回復の定義がそもそも違うのかもしれないが、今のところ脳が回復しているという実感はない。


その次の「心」の回復はもっとわからない。心自体がよくわからないものだし。スピリチュアル(霊的)とか、考え方の癖とも言い換えられるらしいが、未知の領域である。養老孟司が「身体は個性、心は共通」みたいなことを言ったけど共感力みたいなことなんだろうか。


最後の「人間関係」であるが、これはどうこういわれたくないって気持ちがある。人間関係ってもう病気云々の問題じゃないんじゃなかろうか。健全な人間関係が築けないうちは回復していると言えないなんていうんだったら、一体世の中のどれだけの人が健康とよべるのだろう。依存症だからと言ってそこまで望まれるのは困るよってのが正直なところだ。どんな人とどんな付き合い方をするかは病気の回復とは別の次元で考えさせてもらいたい。ってその身勝手な思考の癖をどうにかせえよって言われそうだけどね。

 

そうは言っても人間関係がボクの回復の杖になってることは確かだ。知ってる顔も増え、だんだんNAが馴染みの場所になってきている。一人きりで後がないから踏ん張れる。そんな切迫感をモチベーションに人生をマドリングスルーしてきたが、もし今度スリップしたらここで打ち明けることができるだろう。そう思えることがすごくうれしく、そして頼もしい。ボクの場合、脳より心より人間関係が先に回復したんじゃやないか?


今日、外の風はあいかわらず冷たい。だけど空はいつもより明るい。少し誰かに優しくしてあげたくなる。春は近い。

 

 

 

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あの頃もうすでに「タイヨウの歌」を歌ってらっしゃるエリカ様。かわいい。