ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

思い出しただけ

一番古い記憶って何だっただろうと思い返してみた。
きっとまだ歩くのもよたよたしてた頃の話。どこかのアスレチック公園みたいな場所の大きな太い縄でできたピラミッドを網目に足をとられながら転がるように登る。頑張るとかでもなく、なんとしてでもとかでもない。ただひたすら上へ上へと目指す。どうにかこうにか一番上までたどり着く、しかし降りれない。前にも後ろにも動けない…そんな記憶。けどこれは記憶じゃないな。景色も音も思い出せないし。あるのはただ途方に暮れた感覚だけ。記憶というよりは、一番古い感覚ってとこだ。

ちゃんとした古い記憶は、小学校に入る前あたりのエピソード。舞台は夏祭りのスイカわり大会。それは身内でやるアットホームなノリのやつでなく、大勢の観客が見守る競技的趣向の強いスイカわり大会。幼いなりに選手としての重圧、緊張感があった。10メートルくらい先のビールケースに乗せられた目標物。目隠しをされその場でぐるぐる回されてから竹刀をもたされる。我こそがいざ立ち向かん。やいややいやの観客のはやしたてと祭り特融の熱気は目隠しをしていても伝わってくる。振り払うように、ぐんぐんどんどん進んだ。直感をたよりに、とにかくまっすぐ一直線。…に行き過ぎて台座のビールケースに足があたりあえなく失格。竹刀を振りおろすこともできずボクの夏は終わった。あっけない。なんとも盛り上がらない。肩透かしを食らわせて観客の皆さんごめんなさい。命中できなかったことよりそっちの方が申し訳なかった。裏にまわって参加賞のおかしをもらう。係りのおじちゃんが「ふつうは手前あたりでペースをおとして周りの声をききながら目星をつけるんや。あんな勢いよく来て、ぶつかるやつなんかおらん」って。くやしかった。もう一回やらせてほしいくらいにくやしかった。
方向感覚には問題ないが、どうも距離感がネックなようだ。それは数十年経った今に至っても改善できていない。好きになってしまうと一気に詰め寄ってしまう。その間にあるものを時間をかけて愛でることが大切だとわかっているのに。

教訓は「失敗してくやしい思いをしないと学ばない」でなく「失敗してくやしい思いをして学んでも、結局人(ボク)は変わらない」が正しい。
危険を察知する能力が人より劣っているだろう。まあそのかわり危機的状況でも絶望を感受せずにいられる。いんだか悪いんだか。いいことにしておこう。

三番目に古い記憶は、学芸会で猿蟹合戦の猿の役をした時に……思い出話はきりがない。また今度。

 

 

f:id:ultrakidz:20200318122815j:image

イカわり大会の後遺症なのか、人前で手を挙げるってのが大の苦手。タクシーをとめるのも一苦労。いつも停まってるタクシーを探してしまいます。