ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

巡礼

もう何年前だろう。保釈中だったから2016年の夏だったはずだ。駅からの道を汗を流しながら歩いた記憶がある。かつて数度だけ通った病院。改めてもう一度通うことにした。あの頃は回復に前向きに取り組んでいることを裁判所にアピールするための通院だった。今度はアリバイづくりでなく本格的依存症治療のため。いや本音を言えば、いつかアディクション支援をする上で経験しておいた方がいいだろうから通っとこうっていう下心もある。あんまり変わってないなあ。この建物も自分も。

精神病院だけれども、自分にとっては診察での精神療法の思い出よりはHIVを告知された記憶が強く残っている。主治医が居住まいを正して「大事な話があります」と言った瞬間に全てを悟った。皆まで言うなと「感染してたんですね」「先生も精神科なのにHIVの告知なんてしなくちゃなんなくて大変ですね」「どこかオススメの病院ありますか」...まくし立てた。深刻な顔をされると深刻になってしまう。怒りも悲しみも混乱もなく道化だった。道化がいつもボクを救ってくれる。あなたのプロセス無視してごめんね、キューブラロス先生。

一緒についてきてくれた当時の職場の子に「HIVだったよ」って打ち明けたら、絶句の後「え〜〜、もう代償大きすぎ」って。この子のしごく健康的な反応、好きだなあ。当たり前の世界へ引き戻してくれる。

あれから三年が経って、CD4は300超え、ウイルスは最新医学検査をもってしても検出されない状態まで回復した。次はアディクションの方も寛解を目指してみよう。さあそろそろ時間だ。デイケアへ出向くとするか。

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