oops!
英会話教室に通っていた。マンツーマンで教わるタイプのミドリのやつ。こつこつと二年間。マンツーマンって上達が早いって思っていたがどうなんだろう。気の合うティーチャーばかりを予約してしまいがちになり、語学力の上達でなく、その特定の先生とのノンバーバルなコミュニケーションだけが上達してしまったような気がする。でオレもそこそそネイティブっぽくなったんじゃね?って小さな世界での自己満足に費やした2年間。それはそれで楽しかった。通っていたときはそこそこのプアイングリッシュスピーカーだったんだけど、結局生活に英語が活躍する機会がなかったのでやめたら元通り。
唯一体に残ったフレーズといえば「oops!」唯一これだけ。ある日、電車に乗っていて、持っていた傘が倒れて向かいの女性に当たってしまい思わず「oops!」がポロリとこぼれた。「oops!」が血肉になっていたことを確認できた感動の瞬間!だったはずなのに…その女性なんだか険悪な目でにらんできやがる。どうした?発音悪かった?訳が分からずとりあえず考える。英会話スクールの名にかけて!謎はすぐとけた。「oops!」じゃなくて「ブス」って言われたと思ったんじゃなかろうか。きっとそうだ。なんとか誤解を解きたいけどわざわざ「僕はあなたのことをブスと思ったわけではありません。英会話教室で…」って説明するのもなんだし。何も言えなくて…梅雨。中年のリグレット。きっと彼女、心のほんの何パーセントかで自分はブスかもって思ってたんじゃないだろうか。だって叶姉妹とかだったら「ブス」って聞こえても「あら美香さん、誰のことかしら」的に受け流すだろうから。本当に悪いことをしてしまった。唯一手にした「oops!」さえも使いこなせない、さみしい僕の英会話メモリー。