回復の原理
午前中のチラシの封入作業をしていてデジャブを覚える。あれは病舎単独室での作業風景。色々いたなあ。一言でヤク中と言ってもタイプはさまざま。薬をやめないと宣言するもの。今度はうまく使いこなすというもの。そういう輩と一切交流を経って断薬を目指すもの。その決意も流動的でそこではそれをお互い許し合う。
人生には分岐点ってのがいくつかあってあの時がその一つだった気がする。覚せい剤絶対原理主義で突っ走るもう一人の自分に「そっちの道は任せたから達者でな」って手を振って、苦労するかもしれないけどこっちのを選ぼうと決めたあのとき。あの頃は村上春樹に傾倒してたから頭ん中がファンタジーだったせいなのもあるけど、そんな風に思っていた。
回復の原理は正直さだと思う。正直になりたいなあ。いい大人が自分に正直なんて笑われる。そんなのただのわがままである。立派な大人は自分に対してじゃなく、大切に思う誰かに対して正直であることを求められる。
いつだって子供は自分に正直だ。それは大人になったとき誰かに正直であるために必要なプロセスなんだろう。自分に正直になった経験がない人間が誰かに正直になれるはずもない。セクシャリティを隠して生きてきた僕は正直に子供時代をいきれなかった。遅ればせながらここでの三ヶ月を誰かに正直であるためにまず自分に正直であれる準備期間とみなそう。
そのためにも今の正直な自分をうまく伝えることのできる言葉をたくさん見つけたい。