クスリ以外の楽しみ
薬だけを嗜むってことはなかった。
薬を使ったキメセクが定番というか鉄板だった。
始めての時のことは今もよく覚えている。
あの瞬間はもう一生分の喜怒哀楽を全部をひっくるめて飲み込んだ感覚で、快感という言葉では全く足りない絶対的生(せい)だった。
あの刺激をもう一度味わえたならやめていい。
本心からそう思っていた。
だけど現実は残酷なもので、使えば使うほど求める刺激から遠くなっていった。
最近エロ動画サイトを見ていてデジャブを覚える。
「これ俺じゃんって!」
誰かが盗撮したのを流出させたんだろう。
あー、全世界デビューしちゃったよ...
かろうじて顔は写ってなかったけど。
じっくり見てしまった。
あんまり楽しそうじゃないなあ。
これをオレはずっと求めてたのか?
スーッと何か覚めていく。
(こう思わせてくれた一点に限り隠し撮りくんグッジョブ!)
楽しいには笑顔がつきものだと思う。
笑ってないなあ、この動画のオレ。
いつも、いつオレは笑ってるんだろう。
もっと笑顔に敏感になろうと思う。
その時が楽しい時なのだから。