ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

雇用主への手紙 その11

秋も深まってきたようで、陽の射しこみ方が変わり、朝から部屋が明るいです。メラトニン生成のため毎朝窓際で日光浴をしています。流れる雲の切れ間からのぞく空の青がとても鮮やかにみえます。ここが独房じゃなければなあ。
お元気ですか。手紙と差し入れ本ありがとうございます。ボクの方はあいかわらず調子よくやっています。CD4の数値も少しずつですが上昇中です。(とはいってもまだ200台ですが)。
今日は免業日。作業もなくみんなエネルギーを持て余しているせいか雑居の方では諍いが続いています。もめるもの、いさめるもの、そこに首根っこをおさえつけるような刑務官の怒号、どさくさに紛れてドアをけり上げてはやしたてるもの、なんかそういうにぎやかな劇をみているみたいです。
ボクの部屋は一番端(病舎の中心から83歩)とけっこう離れています。雑居の大ゲンカも見えない祭りの花火を家の部屋できいている感じです。絶望というにはなんともはりのない世界です。
先日は運動会でした。もちろん病人なので参加することはありません。運動場からのドスのきいた雄々しい歓声をききながら特配のパンケーキを部屋でひとり手にしていました。病舎にいるとだいたいこういうおこぼれ待遇です。だからといって虐げられている風でもなく、虐げるほどの充実はここにはありません。恨みがましく聞こえるかもしれませんがボク的には願ったり叶ったりでして…正直運動会とか嫌いなんです。体育会系を超えた軍隊ノリがどうも…。病舎だと整隊訓練が免除されるってきいてHIVでよかったって心から思いました。ここにいる間はCD4はあまり上がりすぎてくれるなと思う自分がいます。愚かですね。
そういえば先日新聞のテレビ欄に「府中刑務所文化祭人気の理由」という宣伝文句がありました。一般市民向けの催しなんでしょうが、文化祭なんかもあるんだなあと。塀の中の企画を塀の外からの情報で知りました。運動会に文化祭…ここに来たばかりのころはここには歴史はあるかもしれないけれど文化はないんだと決めつけていました。けれどそれはこの独房から出てないからそう思うだけでもしかしたら違うのかもと考えを改めなおしています。(かといってもっと知りたい、どっぷりつかりたいという訳ではありませんが)。数千人規模の刑務所の中、数十人の受刑者とわずかに話しただけで判断しちゃまずいなあと。最近分析づいてしまって、人にもモノにも自分にも。浅く表面だけをなぞって決めつけて自分を楽にさせる。いかんなあ。
手紙にありましたがもう報酬改定の時期なんですね。現場にいたころは改定となると、どう対処していくかに四苦八苦目をまわしていました。改定の前年度から情報収集におわれ、解釈通知を(都合よく)読み込み、対策勉強会を企画し、ただただ翻弄されっぱなしでした。前年度以上の収益を確保するにはどうすればいいかに頭を悩ませ、改正後の年度末決算まで気が抜けなかったなあ。そうしてすこし落ち着いたころにまた次の改定話がでてくる…障害者自立支援法になってからずっとそうだった気がします。
社会情勢もうつればニーズも変わるので法改正も報酬改定も必要なのはわかるんですが、事業所は体力をひどく奪われます。それをチャンスとして新しいとりくみに合理的にチャレンジできるようでないといけないんでしょうがなかなかこなすことで精いっぱいというのが現実で。それでも@@@はうまいこと波に乗れた方で苦労は苦労でも手ごたえのある苦労ではありました。ただ最後の方はあきてしまったところに上層部とディスコミュニケーションとなり息切れガス欠しちゃってました。
木を見て森を見ずというように自分にとって利害のある事業の改正部分にしか精通してなかった(能力的にできなかった)のも終わりをはやめた原因な気がします。
もう一度学びなおしたい気分の今日この頃です。
一日でも早く出れるように、懲罰を受けて仮釈が延びてしまうような事態にならないように、粛々と過ごすだけです。まあ普通にしていればまず懲罰なんかになることはないんですが、ボクの普通をはかるモノサシはちょっと信用ならないときがあるので「慎重に用心深く」を忘れないようにしたいです。
あーいつの間にか青空は消えて曇天に。秋も冬に追いやられつつあります。府中の冬はどうなのかまた報告します。お忙しいでしょうがお体大切にしてください。いつもありがとうございます。             

 

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まだ近寄りたくない場所だな