ITさんへの手紙 その14
先週の雪がまだ一面に残っています。巷ではもう雪は見あたらないんじゃないかなあ。塀の中の世界では、なんかちょっと様子がおかしくないかって思うことが少なくありません。
空の青に雪の白のコントラストが鮮やかで思わず窓を開けたらおそろしく冷たい風が。平凡な日常には強すぎるスパイス。すぐにシャットダウン。
いかがお過ごしですか。
手紙にはがき、そして差し入れ本とありがとうございます。
元気そうで安心しました。
ご家族の入院や手術の件、なんといっていいのか…言葉が出てきません。
自分の話をします。ボクが収監されてこの一年半の間に祖父母の認知症が悪化し、すったもんだのすえ、先日どうにか施設入所になりました。
二人の叔母は癌を発症し、ひとりは脳に転移が見つかって…。
父親も原因不明の体調不良で夏に救急搬送されました。
そういう時期といわれればそれまでですが、こういう物騒な事態を前に体も心も身動きがとれません。自分にも他人にも家族にもちゃっかりと生きてきたツケがまわってきてるんだと思います。どうかこの一年は悪い知らせがないようにと祈るばかりです。
さて新年の「今年も私はがんばらない」という脱頑張る宣言、しかと心得ました。(笑)がんばらないことにもがんばらないでくださいね。
色恋もやる気も仕事も今はその時じゃないだけなんじゃないんでしょうか。きっと時が来るんです。ゆるくアンテナだけ広げておいてその時をまってればいいと思います。ボクはそんな風にみています。
さてさて出所後の飲みのお誘いも嬉しいかぎりです。ただ、今はお酒よりも甘いものにうんと飢えています。もしかしたら覚せい剤よりも甘いものへの渇望が強いかもしれません。夢に出てくるのもジャイアントカプリコとかエンゼルクリームとかミニストップのソフトクリームとかばかり。体質ってかわるもんですね。
今年の冬とともにボクの懲役も折り返しです。どのくらい仮釈がもらえるかがはっきりしないので来年の5月の満期を見すえています。出所後は更生保護施設に入所して職場は@@@にお世話になって…というところまでは足場が固まりました。通院先は?住まいは?障害年金、障害者手帳は?ってセルフケアマネジメントしながら感をとりもどさねばと。
今年の独房のカレンダーも吾妻小富士の雪化粧です。福島は寒いんでしょうね。お体大切になさってください。いつもありがとうございます。ではまた。
追伸 早く返事出さないとなんて気にしないでください。いつ来るかといつも気にしてますけれど、その時間も楽しんでますんで。