ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

収監ダイアリー

今年の1月1日からTwitterをはじめた。
東京拘置所、八王子医療刑務所、府中刑務所の三か所の収監先で書いていた日記を少しずつTwitterに転記しようと思ったんだ。
その五冊の収監ダイアリー。一度、高校時代からの友人にさらっと見せたことがあるんだが、ヤツはページをぱらぱらとめくって「なんかコワい。まがまがしい。お前と昔行ったスイスの美術館に似たようなのあったよな。あれみたい」と一切読まずにつき返した。そのスイスの美術館はきっとローザンヌのアールブリュットコレクションのことだと思う。(たしかに監獄や精神病院なんかで書かれたパッション系の作品がやたら存在感を発揮してたような記憶がある)。
自分ではわからないがヤバ目の言霊が宿っていたんだろう。
痛いだけの思い出ならわざわざ振り返る必要はないと思う。だけどもう出所して三年も経とうとしているしそろそろ笑い話にできるんじゃないかと、クローゼットの奥から引っ張り出したボロボロの懐かしい赤いノートたち。
2016年9月から2018年7月までの約二年間の言葉を約四か月で解放した。あんまり楽しくない思い出ばかりだったから、読み返したりしたらメンタルやられるかなあと思ったけどそんなことはなかった。かさぶたの下にはもうしっかりと強い皮膚ができていたんだ。この四ヶ月間、ノート片手に暇さえあればツイートしていた。転記し終えた瞬間、かるく眩暈をおぼえた。気持ちいい眩暈だった。二度出所した感じとでもいえばいいのだろうか。自分の意思が力を持たない不自由だけだった思い出をやっと自分のものにして、自分の意思で解放できた。やらされたもの。与えられたもの。偶然手にしたもの。そういった何もかもがいつか自分で選んだものに変わる日が来るはずだと思っていたけれど、もしかしてそれが今なのかもしれない。自分の依存症だったり、HIVだったり、前科の問題やセクシャリティにさえも、悪い意味でなくどうでもいいと感じてるようになった。これだけ自分が自分のことを考えてあげてるんだから誰かに知ってもらわなくたって別にいいじゃないか。憑物が落ちるってこういうことなんだろうなあ。人生における折り合いのつけかたが何となくわかった気がする。こうやって生きていけばいいんだと。‪過去と未来がようやく自分の目の前で手をつないで道が開けたようだ。新しい光。さて明日からボクはどんなことをつぶやくんだろう。

 

 

 

 

 

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アール・ブリュット系ダイアリー。