ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

雇用主への手紙 その6

おはようございます。朝一番、窓を開け目覚めた手の体にあたる風がもう冷たくありません。春が完成したようです。窓際に小鳥がワサワサと集まって騒いでいます。すぐそばに僕ががいるのに警戒心ゼロ。決して部屋から出てこないことを察しているようでなめられています。

いつも手紙に差し入れ本にありがとうございます。中村文則のやつもありがとうございました。ちょっと前に東野圭吾の「手紙」を読んでいたので、収監ものが続きました。拘置所や刑務所の描写や受刑者の心情背景に、そうそうわかるとうなずいたり、それはどうかなあと首を傾げたりして読み進めています。ちなみにこの中では刑事ものが人気でして、エッセイ、ノンフィクションがそれに続きます。僕は基本読書に関しては雑食なんですが、自己啓発系はちょっと今はいいかなあって感じです。送ってもらえる手紙が一番の啓発になるようです。

両親が手紙とともに品物を送り付けてしまったようで申し訳ありませんでした。再度お礼をしていただいてありがとうございます。両親へは品物を送ったりすると相手にとってはかえって迷惑になるだろうからやめてもらいたいと伝えたんですが、なぜ親の気持ちが理解できないのかとかえって意固地にさせてしまい…。手紙のやり取りってホント難しい。多分今後もしばらく品物が届くと思いますが、気にせずに受け取っていただければと思います。商売人なので贈り物はすごくカジュアルなんです。

先生の手紙にもありましたが、僕がゲイだということについて両親は最近事実を認識しはじめました。「逮捕」「収監」「覚せい剤使用」「依存症」「HIV」とショッキングなニュースを一気に知ってしまったため、この一年は「ゲイ問題」どころではなかったようです。人間は一度に不幸を受け入れる容量が決まっているらしいので時間差で小出しにショックを与え続けるということでなくあの一時期に集中できたのは不幸中の幸いだったのかもしれません。(だからよかったねとは親には言えませんが)
先日届いた親からの手紙には「ノーマルに生んであげられなくて申し訳ないと思う」と書かれてありました。大概のことにおいてはどう答えれば親が喜んだり納得したりするのかわかっているつもりなんですが(わかっててもできない…)、この言葉への正解は見つかりません。「親の責任ではない」「そんな特別なことではない」などといったところで何の意味もないことですし。彼らに安心してもらうためにも、ここは何としてでも幸せになる所存です。
自分としてはどうかというと男性とつきあうとちょっとした場面、例えばレストランやホテルを二人で利用したりだとか、家族や友人と一緒に会う時など、いちいち説明が煩わしいし、女性相手だと、この点ライトにいることができる反面、具体的な将来への責任がめんどうに思えてしまいます。
けどやっぱり今なら男性がいいというのが本心です。

この二階の部屋のすぐそばに幹から枝までびっしり苔でおおわれた老木がたっています。先日花が咲きました。花が咲いて桜だと気づきました。老い桜なので満開でも二分咲き程度です。だけどそれは僕にとってはもう一度ひと花咲かせたいと思わせるような魅力的な咲きっぷりでした。そんなことをいうなんて、まだ懲りていないのかと思われそうですが、懲りているんです。懲りているんですが、懲りているだけでないというか…。以前みたく四方八方むやみやたらといったまきちらしかたでなく、身の丈に合った咲き方がしたいなあと。この身の丈のほどを見誤らないためにも人の中で人とともにというのが僕にとっては必要です。うまく自分で自分を育てなおしていきたいと思っています。
桜吹雪のあと。新緑が景色を支配しています。先生、ご家族にとってよい春になるように祈っています。

 

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