ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

なんとなくシンクロニシティ

映画でも小説でも逃避行モノが好きだ。「テルマ&ルイーズ」とか「トゥルーロマンス」とか、邦画だと「風花」とか。だからなのか自分もジプシーのような生き方になってしまっている。
ちょうど今読んでるのもそんな感じのやつ。絲山秋子の「逃亡くそたわけ」。福岡の精神病院から逃げ出す主人公ってことが興味をひいた。しかも10号線が出てくる。実は10号線フリークなのである。刑務所にいたときに「ルート10」ってタイトルの歌を作ったくらい10号線が好きだった。(なかなか聞かせる歌だったのにもう忘れてしまったが…)。10号線を車で走っていると正しい田舎の風景をみることができる。無花果やらザボンやらが道のわきで売っていたり、ときおり姿をあらわす海もうれしい。空が開けていく感じにワクワクする。どこまでも行けそうでいつもたまらない気持ちになっていた。
物語の途中、10号線をぬけて「富貴寺」というお寺が登場する。何か気になった。親に知っているか聞いてみた。

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じいちゃんにゆかりがある寺だった。ついでに今日がじいちゃんの命日だったことを知る。3月3日のばあちゃんの誕生日に、じいちゃんの命日と誕生日にはちゃんとごめんなさいを想おうと誓っておきながら、命日がいつだったかも確認しないままにしていた。(男親ってこういう扱いをうける宿命なんだなあ)。
「3.11」だったのかあ…。もう忘れられないな。じいちゃんが死んだ日、自分はどうしてたんだろう。日記を開いてみたけど、大して変わらぬ刑務所の日曜。

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とにかくぎりぎりだったけど今日気づけてよかった。じいちゃんごめんね。
学校を卒業して、精神病院に就職が決まったって報告したとき「ああいうところに勤めると自分も病むからな。うつるんだ。お前もよく気をつけろよ」って言ってくれたけど、夢に燃えた若きソーシャルワーカーは「根拠なしに、何そんな差別みたいなこと言ってんだこのじじい」って思って聞く耳持ちませんでした。じいちゃんは正しかった。その通りになった。ごめんね、いつも大事な助言が届かないボクで。だけどボクは今ちゃんと生きてます。明日を楽しみに生きてます。今日もまたひとつ行きたい場所ができました。10号線沿いにあったじいちゃんとばあちゃんの家を通って、いつかじいちゃんの写経を見に行くよ。ありがとう。