渇望君こんにちは
仮釈を受けてからここまで、テンポよく、問題なく、それこそ「順調」という言葉に相応しい生活(社会復帰の道)だったが、ここに来て躓く。
配達中、車線変更違反で違反切符を切られる。
“先日この先で死亡事故があったんで厳しく取り締まらせてもらっているんです”
本当かなあ...
「こっちの点数が引かれて、そっちの点数に加わる」
「そっちの点数稼ぎにこっちの点数が奪われる」
それだけの話なんじゃないか。
免許証を出して色々調べてるうちになんだか警官たちの目の色が変わる。
車両番号を控えたり、こちらを車の外からチラチラチェックしてくる様子が尋常でない。
慣れていない場面に遭遇してしまったときに人が醸し出すタダならない雰囲気。
きっと自分の立場がわかったんだろう。
“実は今、仮釈中なんです。この違反で身柄措置に何か影響あるんですか”と、どうせもう知られているんだろうが、自分から晒したほうがいいと思って申し出る。
“自分たちは交通課なのでどうなるのかはわかりません。ちょっと調べてみます”と。
そんなはずないだろう。
近くの派出所の警察官が来るまでの時間稼ぎ。
程なくしてやってきた警察官は自分が仮釈中だとか薬物使用歴があることとは全てわかってるはずなのに何も知らないフリして色々聞いてくる。
なんかムカつく。
車両もカバンも、もちろんポケットの中まで何から何までくまなく調べ上げられてやっと解放。
毎日一円単位を切り詰めてやりくりしてる身の上に6,000円の出費はキツい、痛い、悲しい。
どうして警察は僕の更生の邪魔をするのだろうと心の底から憎く思う。
もうどうにでもなれ。
車線変更ミスがきっかけで再び人生の道を踏み外すこともあるのかもしれない。
職場の人たちは優しく気遣ってくれるも素直に落ち込めない。
落ち込みを素直に表出できない。
責められないために落ち込んだフリをして自分を守っていると思われたくない。
普段と変わらない態度であれるように気を保つ。
けっこう疲れる。
これまで出所してから薬への渇望は一度もなかったが、ふっとよぎる。
“今日使ったら凄く効くだろうなあ”