ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

カウントダウン

熟睡できぬまま朝を迎える。
担当が「準備できたか」と確認にやってくる。
開錠され移送かと思いバッグを運び出そうとすると捜検だった。まぎらわしいなあ。
捜検が終わりしばらくたって再度開錠される。今度は間違いなく移送のお出迎えである。
担当台にて「お世話になりました」「もう来るなよ」とお決まりのやりとりでサラバす。
色々ここでチェックされるのかと持ったけどそのまま素通りして連行される。
面会のときのルートを通り過ぎてさらに奥へ奥へと。このキャリーバック使いづらい。
途中、旧病舎メンと遭遇して視線だけで旧交を温める。
さらに奥の建物の三階のずっと先の担当台まで歩きいったん待機。
病舎のおじいちゃんと二人で説明をうける。早口で注意事項も多くて把握できない。まあそれでもなんとかなることは何度も移送を体験したのでわかっている。
官本三冊を選び48号室へ。担当台からまださらにさらに奥の奥の大奥。広大さを知る。
病舎よりもやや狭いつくりの三畳座敷牢。三階だし壁も塗りたてっぽくて明るく感じる。病舎よりも清潔感はある。入れ替わりの頻度の高い部屋の方がきれいに保てるんだろう。両隣とも空室。日中は静かだ。八王子のときのあのはりつめた静けさとは違うどこかおだやかな静けさである。
作業時間中はテレビが勝手について教育放送が流れだす。
出所時のアンケートを書きながら視聴する。
釈放時の感想文、就労見込みアンケート、意識調査アンケート、ワークブック、自由記述感想文…。巡回の刑務官がおもむろに話しかけてくる。よく見ると病舎のときの刑務官だった。「もうあがりなのか?はやいなあ」と言ってくるので「いえもう充分ですから」と心の中で答えておく。「体に気をつけてな」となぜかうらやまし気な視線をよせる。
いろいろあった一日だった。昨日寝れなかった分ゆっくり寝れそうだ。

 

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