ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

雇用主への手紙 その14

こちらに来てもう一年が経ちます。
駅の方にきれいなビルが完成して窓からの景色もすこし変わりました。早いものです。
お変わりありませんか。こちらはというと…そうですね、最近「世界一伸びるストレッチ」という本を買って毎日実践していたらぐぐぐーーーっとすごく体が柔らかくなりました。羽を伸ばすのは得意なんですが、身体はかたいままだと諦めていたんですがやってみるもんです。継続はなんとやらです。やりすぎて伸びきってしまわないようにしたいです。
身体性に対して精神性の変化はというと、変わったような気もしますがどこが?と問われると答えに窮します。気づけたこと、学んだことはいくつもあるんですが変われたこととなると、うーーん…。出所して周りから評価してもらうべきことなのかもしれません。うまくここでの経験をものにできていればいいんですが。

手紙いつもありがとうございます。
ボクの方は、大きく体調をくずしたということはありませんが、肌荒れがひどいですね。OL女子が今日はお化粧のノリがちょっと…と顔をしかめる程度ではなく頭なんか皮膚病の野良猫みたいになっています。理髪したてで2ミリに刈られたてなんで目立つ目立つ。自分でみても痛々しくてかわいそうな状態です。専門医の説明では発疹は回復のサインらしいです。どういうことかというと、低下した免疫が上昇してくると体の中で共存している特に問題のない細菌に対してその回復してきた免疫系が過剰に反抗し攻撃をしけけることがあり、それが発疹という症状になって表出してくるという話です。第二次成長期の子供の反抗みたいですね。
これだけ毎日規則正しい生活(つまりは変化に乏しい生活)をしているのにどうして免疫系に波が生じるんでしょう。不思議です。

差し入れ本も届きました。
「下りの中で上りを生きる」を読んで…。太陽は写真からはそれが朝日なのか夕日なのか判断をつけることはできないらしいです。どちらも同じ輝きをみせるということなんでしょう。駆け上るように暮れおちる。そんな生き方が理想です。

ここ数日「おっ!春の気配か」と感じるくらいおだやかな天気だったんですが今日はぐっと冷え込みました。いったん温かくなりそうかなあと思わせておいてぶりかえしてくる寒さは身に堪えます。寒さは人恋しくさせますね。
誰かと唯一コミュニケイトできる屋外運動は天気が悪いと中止になります。空模様は死活問題なんです。朝いち窓から空を見上げる顔つきは農家や漁師のそれに近いはず。今日は運動最中にみぞれが降りだしましたが、さわぐと中断になりそうでまるで何もおこっていないかのように三十分をやり過ごしました。不自由や理不尽には慣れてきましたが、ひとりにはなかなか慣れることはできません。毎日誰かとの関りに飢えています。

さて仕事の話ですが、いろいろと考えてくださってありがとうございます。
今は前のようにやたら働きたい働きたいとは思わなくなりました。よく考えたら今だって作業という形ではありますが働いているわけですし。目の前のやるべきことを楽しんでやる努力をする。それをこなしてこその自分らしさだという気がしています。生きがいとかやりがいは目指すものでなく後からついてくるのかもしれません。

明日は矯正指導日なので作業がありません。また本を読む男になります。
年度末あわただしいかと思いますが体調に気を付けてお過ごしください。
いつもありがとうございます。

 

 

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あの頃はギュッと握手できてたんだが