ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

OKさんへの手紙 その1

あけましておめでとうございます。
年賀状ありがとうございました。
驚きました。そしてうれしく思いました。OKさんはおかわりありませんか。
AM君は立派になって、時の流れの速さを感じます。もうリトルダンサーではないですね。いつかAM君の舞台を観に行きたいです。AM君に譲った洋服の事、気になっていました。常識的に考えて(僕が常識を語るなって感じですが)、ちょっと不吉で嫌だとなっても仕方ない案件でしたので安心しました。

OKさんと初めて会った時のことはよく覚えています。実習オリエンテーションでロビーにもう一人の若い男の子と座っていた気がします。@@@は良くも悪くも僕色に染まった(ほぼ汚染された)人ばかりだったので、OKさんの存在は新鮮でした。実習後、街で実習生と再会するもたまにありますが、その場でリクルートしたのはOKさんが最初で最後です。世間の常識から少しずれがちな福祉現場に一般社会感覚や通念を吹き入れてくれる大人の役目を担ってくれたかと思います。そこに甘えて、無理なシフト、勝手な人事、都合のいい異動(一応自覚はしておりました)を繰り返して申し訳ありません。恩を返すことが何もできず去ってしまいすみませんでした。こんなことなら大幅なベースアップで契約更新しておくんだったと後悔しています。この手紙でお礼と謝罪を伝えることができてよかったです。

年賀はがきに書いてありましたが、養老天命反転地はちょうど行く予定にしていた前日に逮捕されてしまい、僕にとっては訳ありの地になってしましました。先のことを考えると圧倒されてしまうんですが、出所後の楽しみに。僕の運命もいつか反転させたいものです。

八王子医療刑務所は年季の入った場所です。日に焼けた古い本の中に挟まれたような感じとでもいいますか、なんともいえない独特の雰囲気です。とても静かで、平和でそして孤独な場所です。
一日のほとんどが寝たきりなんですけど、ラジオなんかは聞くことができます。あいかわらず有名人の薬物事件報道がにぎわってるようですが、職場の雰囲気が暗くならなければなあと心配しています。
こんな立場になって言うのもなんですが、今回の自分の事件からみんな何かを学んでもらえればと思っています。僕自身「薬物依存から学ばなければ、薬物依存になったかいがない」「HIVへの感染をきっかけに以前よりもいっそう健康になる」「逮捕から学び、刑務所で生活改善してやる」という風に開き直りに近い決心をもつことにしました。
あのままの状況で働き続けても、自分だけでなく、OKさんにもここでやってきたことは失敗だったと後悔させることになっていたかもしれません。逮捕されてよかったとは達観できませんが、僕の限界、去る時期としてはいい頃合いだったのかもしれません。

いったん一つの姿勢、とくに内面のそれを崩してしまうととめどなくだらしなくなってしまうものです。AM君のバレエではありませんが、レッスンを一日休むと三日前に戻ってしまうというように堕ちていくのは本当にたやすいものです。すべての意味で回復したいですね。
あーだこーだ考えても仕方ないですし、どうなるにしろシンプルに回復を目指すだけです。僕は思考と感情と身体が一致しないと行動に移したくないというわがままな癖があります。そんなかたくなにならず、もっと大きな流れに身をゆだねる、そんな信じる力が欲しいものです。

シンゴジラ」は見ました。「君の名は」もギリギリセーフ。「ピコ太郎」は間に合わず、「恋ダンス」は想像もつきません。(こんなんじゃない?っておかまさん達の創作ダンスはウケます)。あと二年半。長い。永遠のようです。二年半後の世界はどんな風になっているのか、どれを自分はどう感じるのか、そんなことを夢想しています。
いつかまたお会いできる日を楽しみにしています。お元気で。

 

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