ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

親への手紙 その5

前略 まずはよい知らせ。11月28日の血液検査の結果 CD4が216になりました。9月13日の116から3か月弱で100アップです。次はいまいちな知らせ。その時のデータで白血球の数値がかんばしくなく居室外では常時マスク着用の指示をうけました。回復は難しいです。

ここのところ毎日寒く、冷え切ってしまい30年ぶりにしもやけになりました。また1200キロカロリー食では満足できず、常時ひもじい状態で9月から五キロ減です。体温と体重は低下すると免疫を下げると聞きます。にもかかわらずCD4は上がり続け我が体ながら驚きです。
時間をもてあましてしまうここのスケジュールも毎日定刻にあたえられるHIVの新薬も今の自分には合っていて、回復に欠かせないものなんだと実感しています。
体は回復の兆しを示しています。ここは一本移送を目指したいです。あと二回の検査でCD4の200超えを続けて、ついでに不穏な白血球もどうにか落ち着かせ、半年以内には一般刑務所に行きたいです。

手紙ありがとうございます。読んでみて思ったことを書きます。「昔の自分に戻ってほしい」「立派な人に」とありましたが、正直、僕自身昔の自分に戻りたいとは思いません。あの頃の自分をあまり好きではないからです。どうしようもなかったあの状況を何とかしようとしての今なので、こんな刑務所に入っている自分でも昔よりはましだという気持ちがあります。親不孝であることは自覚しています。立派には難しいでしょうが、周りも自分も納得させれる自分になれればと思っています。

こちらの生活は前回の手紙から特にかわっていません。そういえば部屋移動がありました。今は北病棟の北向きの角部屋です。強烈に寒いです。他の部屋に比べて大型のスチームが設備されているんですが、調子がよくなく稼働せずに、ただの冷たい鉄のままという日も少なくありません。春まであと何度寒いと口にすることでしょう。

まあなんだかんだで過ごしています。週に一回、半年遅れの真田丸、毎日二十分間の回覧新聞、夕食後はラジオ放送、それに晴れの日は戸外運動が三十分あります。運動とは名ばかりで他の療養受刑者とただ食っちゃべってます。拘置所のときと違って人と全く交流がないというわけではありません。同じ病棟には境遇が同じような人が集まっています。HIVや移送についての情報がえれます。みんなそれぞれ頑張って生きていることが知れます。今日は四日ぶりの戸外運動でした。改正の空は気持ちよかったです。
二人とも僕のことを気に病むのは一日五分くらいして、毎日を楽しんでください。また手紙を書きます。お元気でお過ごしください。

 

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