ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

親への手紙 その2

お元気ですか。
特に新しい報告もないので毎日のことを少し話してみます。

ここでのスケジュールは部屋に時計がないのではっきりしないのですが、毎朝六時ごろに目が覚めます。カーテンがないので明るくなったら起き上がるといった感じです。軽くストレッチをして七時過ぎの点呼、朝食を待ちます。掃除をした後は12時の昼食まで本を読んでいます。週に二回は午前中に入浴があります。昼食後15時まで安静時間となり何もしてはいけません。ベッドで休んでいるんですが、ここで眠ってしまうと夜寝付けなくなってしまうので考え事をしながら15時をまちます。16時過ぎに夕食、17時からボールペンを使えるようになります。20時に眠剤を飲んで21時に消灯。体を使っていないのですぐに入眠することはありませんが、このリズムに今は慣れてきました。土日祝日はいろんな制限がゆるやかになりますが、一日の流れは同じです。運動時間もあって外に出る機会はあるんですが、他の拘留者とどう接したらいいのかよくわからない(正直怖い)ので参加したことはありません。とりあえずずっと一人で過ごしています。

拘置所の五つの心得ってのがあります。
「ルールを守る強い精神力」
「規則正しい生活態度」
「善良な社会人」
「家族社会のための貢献」
「一日一日を大切に」。
あまり好きなタイプの言葉ではありませんが、一応暗記して、一日一回確認しています。

どう思われるかわかりませんが、最近は今回逮捕されてよかったと思えることを上げ連ねたりもしています。例えば…
・手遅れになる前に病気がわかってよかった
・感染を広げなくて(誰かにうつさなくて)よかった
・薬物依存に向き合うきっかけになった
・無責任に仕事を続けなくてよかった
・仕事をやめることができた
・当事者の気持ちが知れた
・本をたくさん読める時間がもらえた
・これまでの生き方を振り返るきっかけになった
・人生をリセットして、二度人生をもらえた気分
スマホタブレットから両腕を取り戻せた

・好き嫌いが少なくなった(まだ椎茸は無理)

・バレなくてよかったと思いながら死ぬことを避けることができた
・弁護士、自助グループなどの知り合いが増えた
・さらして生きる前向きさを学べた
・時間感覚、身体感覚が健全に戻りつつある

・知見が広がり、同時に世界も広がった 等々

もちろん普通だったら逮捕されなくても得られたり気づけたり変われたりするものばかりですが、普通ではなかったあの頃の自分には事件にならなければそのままになっていただろうと思うことばかりでもあります。「つよがり」「開き直り」ではないとは言い切れませんが、ただこんな風に考えるともう一度二度目の人生をリスタートできる気分にもなります。人生の折り返しである今のギリギリの状況も自分にとってはよいタイミングとしてうけとめています。

手紙を書いた関係者の方々から、忙しい中返事をいただいています。皆さん自分の調子を気遣ってくれる内容でありがたいです。頼る先がたくさんあることは力強いです。
IW先生からの「一日一日は確実に進んでいます。後からかみしめられるよう毎日を大事に過ごしてください」というメッセージが手紙の中にありました。こういった言葉に救われながらも、やっぱり気がせいでしまい、直接感謝を伝えれる日のことを待ち遠しく思っています。
まあ出所までが大変なわけではなく、出所してからが本当の苦労がスタートするということはわかっているんですが、それでも待ち遠しいです。
また手紙を書きます。
二人とも体に気を付けてお過ごしください。

 

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追伸

こちらに提出した紹介状を添付します。