ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

村上春樹

好きな四文字熟語と問われたら「村上春樹」と答えるくらい彼の書くものが好きだ。昔からというわけではない。流行っているからという理由で「海辺のカフカ」と「1Q84」くらいは読んでいたが、そんなに熱心な読者ではなかった。はまるきっかけは刑務所の中で出会った「羊をめぐる冒険」だった。内容も文体も比喩も好みだったが、飢えていて、渇いていて、病みかけている世界観が八王子医療刑務所のあの独特な雰囲気にとにかくマッチしていた。「これだ!」と思った。地下二階のズレ具合。孤独。絶望しきれない絶望。希望のない救い。あきらめ。完結しないクライマックス。最後の最後で読者を置き去りにするナルシズム。いくら読んでも足りない。全然足りない。何度も繰り返し読んだ。気に入った言葉をノートに書き写すなんてカッコ悪いと思いながら躊躇なくやってしまえた。

留置三か所、拘置所に刑務所二か所。その経験からいわせてもらうと、こういう場所の官本って誰の好みなのか知らないが右寄りの作家の作品と刑事もののラインナップが充実している。(それと東野圭吾の「手紙」は課題図書みたいに必ずある)。村上春樹がどちらよりの人なのかは知らない(選挙には一度も行ったことがないらしい)が、そこは日本で一番売れてる作家だけあって「ダンスダンスダンス」「ノルウェーの森」「風の歌を聴け」「色彩を~」「世界の終わり~」など有名どころは一通りそろってある。さすが!アンチがいっぱいいるのに売れてるってかっこいいよね。官本にないものは差し入れてもらった。彼の作品は確実にブックオフにあるから本を読まないうちの親も見つけることができるんでお願いしやすいんです。結局、小説はほとんど読んだんじゃないかなあ。ゲイがよくでてくるってのもポイント高し。なにより彼らが変質的なキャラクターでなく、普通で他の登場人物と同じくらいにちょうどよく壊れている感じがいい。ノンケの男性作家であんな風にゲイを描く人ってあんまり知らない。ゲイではないけど、鼠になりたかったなあ(タイプではない)。キズキでもいいや(ちょっとタイプかも)。けど突撃隊はいやだ(ごめんなさい)。

だから東京芸術劇場の「ねじまき鳥クロニクル」すごく行きたかった。コロナを恨んだ。Perfumeのライブに行けなかったって友達が言ってるのを聞いて、まさかと思いサイトを観たら新着情報に「公演中止のお知らせ」がアップされてやがる。延期じゃなくて中止かよ。はーーー。せっかくチケット買ったのに(発売してしばらくたってからだったけど)。今年初めての贅沢だったのに(サイドシートだったけど)。とにかくがっかりだった。このくやしさを友達にLINEで嘆いたら「これすごいよかったって友達が言ってました」と返信が。...ここは「キャストのイメージが違った」とか「難解過ぎてよくわかんなかった」とか「やっぱ本の方がよかった」とか言うべきでしょう。腹を立てながらがっかりし続けた。

どうしようか。図書館に行こう。やっぱ2Dだろ春樹は。まだ読んでないやつがあった。「走ることについて語るとき僕の語こと」だって。おもしろそう。借りてこう。

 

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