押したら最後、友達がいなくなるスイッチ
中学生の頃、塾に馴染めないボクに過保護な両親は家庭教師をつけた。
近所の大学に張り出された募集の張り紙には「癖のある子供です」と但書があったそうだ。(あとになってその家庭教師の先生が教えてくれた)。
親も子育てに苦労したんだと思う。
我慢ができない子供だった。
特に火災報知器には目がなかった。
小学生の頃から、火災報知器を見ると押さずにはいられなかった。
休み時間、友達同士で「お前押してみろよ」なんてふうに小突き合いながらそそのかし合っているのをよそにためらわず押すタイプ(そういうタイプがいるのかわからないが)だった。
ドンびく少年たち。こいつマジかよという目で見られる。
一回押すたびにひとり友達が減っていく。
大きな音は苦手だし、一人は寂しいし、叱られたいわけでもないのにどうしてか惹きつけられてしまう。わかっていても抑えられない衝動の存在をボクは子供ながらに知ってしまった。
手当り次第押しまくったおかげで飽きてしまったのかもしれないが、今は報知器をみてもときめかない。
努力しなくても人はおとなになれるんだ。
オオカミ少年の話はキライです