実験くん
いつかいつかと気になったまま先延ばしにしていたことを実際にやってみたのはただ暇だったからだ。
HIVの治療薬デシコビとテビケイの味をいつか確かめてみたいと思っていた。
青いやつがデシコビで黄色いやつがテビケイ。
まずは青い方から。
口に含んで舌感触を確かめる。ツルツルコーティングされている。ADHD気質なので溶けるのを待てない。思い切って左の奥歯で噛み砕く。砕けた破片はシュワっと泡立ちながら溶けていく。味のないフリスクみたいなものかって思った刹那、びっくりするほどの苦味が口中を走る。脳味噌に刺さる。苦味150パーセントの衝撃。飲みやすさとか飲み心地とかそういった一切との迎合を拒否する医学、化学の味。
ペットボトル一本分のお茶を一気に流し込む。危険ドラックだよ、これ。じっくり味わう根性ありませんでした。昼過ぎまで左側の口の中の感覚がない。抜歯したあとみたいに麻痺してる。こんなの毎日体に入れてんのか。
味見終了。良薬口に苦し。覚せい剤と一緒だ。黄色い方はもういいや。丸呑みしました。
No drug , No life !