ある依存症者の終わらせたい日記

人生の大事なことは覚せい剤が全部教えてくれた。HIV×ゲイ×依存症×前科⇒精神保健福祉士のライセンス失効⇒最近復権。君子豹変して絶対に幸せになる。

エンタメしすぎる社会

ホームレスの人の生活へ密着した取材の記事が炎上している。必死に生きている人の姿をエンタメ化するのは非礼であり、軽薄だという理由らしい。

このブログでもホームレス問題について書いているので他人事じゃない。消してしまおうかと迷った。だけどまあこれが今の自分なりの精一杯なので、たとえ誰かに「それは違う」と指摘されても「ああそうなんですか。次からはもっとできるようにします」そう言うしかないと開き直ってそのままにしている。

その記事自体を読んでいないのでなんとも言えないが(私生活ではなるべく仕事関係のものには寄り付かないようにしています。つかれるんで…)、時代的に様々な事象がエンタメ化しやすくなっていることは実感している。ツイッターをやっていても「淘汰さんの経験は他の方にはないものなので取材させていただき動画配信しませんか」という類のDMも来るし…(まだまだ伸びしろあるんでお引き取り願ってますが)。

映画「ミッドナイトスワン」もトランスジェンダーの当事者から「違う!これじゃない!!!」批判が繰り出されて話題になってたけど、これは目立つパイオニア的存在の宿命なのかもしれない。もっとたくさんのそれ系の作品が出てくれば変わってくるんだと思う。

エンタメ化か…

ちょっと前に職場でこんなことがあった。ある20代の女の子が事務所にやってきた。彼女は「お金がなくてホームレスをしている。実家に帰る帰省費用を雑誌を販売して稼ぎたい」と申し出た。(ボクの職場は路上生活をしている人へ販売用の雑誌の卸しの現場なのだ)。若い女性が路上で雑誌を売るということがどんなに危険なことなのかということを滔々と説明したが、頑としてやると言い張った。他の社会資源を使えば(最終的にはその帰省費用を受け渡すこともできるとまで説明したが)、どうしてもやりたいとゆずらない。その頑なさがなんだかあやしく思え、その子が事務所を出たあとつけてみた(だけどしんじてる、し~んじてるきみをしんじてる♩)。しばらく歩いたあと、彼女は路地に入った。もちろん追う。そこには、ビデオカメラを前にインタビューに答えている彼女の姿があった(シャレになんないよなーんないよ♫)。……ユーチューバーかよ。どうゆうことかと詰め寄った。この場面もどこかで誰かが撮ってやしないかとちょっと疑心暗鬼になってしまっていて、かなりぎこちない詰め寄りだった気がする。話を聞くと、彼女は地下アイドルで、撮影していたのはマネージャー。ホームレスをしながら雑誌を販売する(いたいけな)姿をネットにアップしてブレイクするのが目的だったらしい。

池袋でホームレスをしていることは事実であり、雑誌を売って稼ぎたいという気持ちに嘘はないんだから何が悪いとは彼女らの主張。こちら理念とは話し合いの中、最後まで噛み合うことはなかった。自分の仕事についても、実際に路上で生活している人についても馬鹿にされている気がして腹が立った。そして「倫理観の崩壊もここまで来てしまったか…」というお大きな脱力に襲われた。

やっていいことと悪いことがあるのがわからないのか!(悲しいかなボクは立場上この言葉を発することができない...)。

だけど、ボクのブログの開き直りと彼女たちの開き直りの何が違うのだろう。

自分の方がわかっている自信(盲目)が誰かを責める躊躇を殺す。罰してもしょうがないんだけど、罰そうとしてしまう。愚かだ。

あれからしばらくの間、新規の相談を受けるとき「もしかしてユーチューバー?」ってまず疑ってしまうような不健全な空気が事務所に蔓延しいていた。(今も少し残っている)。この仕事も長くやっているが、というか個人史においてさえ、誰かをつけまわすなんてことをしたのはこれがはじめてだ(マッキーの歌の世界の話だけだと思っていた)。金輪際であることを願う。

炎上で誰かの言葉を奪うのは論外だが、9人の笑いのために1人が泣くのは仕方ない。そういうのはもう古いと思う。無理だとしても、誰をも傷つけないであろうとする姿勢をエンターテイメントには求めたい。それが娯楽の精度を上げるってことだと思うから。

 

 

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面白いよ!コラーゲンはいごーまんさん


コラアゲンはいごうまん【売れない芸人の僕がYahooニュースTOPに登場した訳】ビッグイシュー日本版/ホームレス生活/朝日新聞withnews/ワハハ本舗★#Radioで聴いたちょっとイイ話